こんにちは、えつみんです。
以前年収の壁について何度か投稿しました。今回は、お子様がいる家庭で年収の壁を意識した方がいいケースについてお話しします。
年収103万円は、所得税が発生する壁でしたが、それだけではなく子供関連の手当や支援金などの制度を利用する条件にも関係していますので、具体的に見ていきます。
1.児童手当
子供1人につき、最大で月1万5千円の児童手当が受給できます。その手当の額は、
・3歳未満:一律1万5千円
・3歳以上小学校修了まで:1万円(第3子以降は1万5千円)
・中学生:一律1万円
ですが、受給には所得制限があります。例えば、扶養親族が3人の場合は、世帯年収が960万円未満で受給できますが、960万円以上だと月額一律5千円の特例給付に変わり、年収1200万円を超えると給付されません。
共働きの世帯では、夫婦のうち所得が高いほうが対象で、世帯合算した金額ではありません。
この所得制限の限度額は、扶養親族の人数が多いと上がり、人数が少ないと下がります。配偶者で年収103万円以下なら扶養人数に含めることができるので、限度額ぎりぎりの場合は、配偶者の103万円の壁を意識する必要がありました。
★ここまで所得制限の詳細を書きましたが、実は2024年10月からこの所得制限は撤廃される予定です。そうなると、児童手当については103万円を意識する必要がなくなります。
ツボ1️⃣ 児童手当はこう変わります
2024年10月から、少子化対策として児童手当が拡充される予定です。その内容は、
・第3子以降は現行の1万5000円から3万円へ倍増
・支給対象を18歳(高校生)まで引き上げ、月1万円支給
・一部の高収入世帯には不支給としている所得制限の撤廃
です。下図に変化点をまとめました。
★ここで、第3子以降の子どもとしてカウントされるのは、高校生以下限定ということに注意。つまり3人目、4人目の子どもがいたとしても、一番上の子が高校を卒業すれば「第2子」「第3子」という扱いになって、3人目の子どもは増額なしです。なんか姑息ですよね。
★最後の所得制限が無くなるというとこは、裕福な世帯にも一律給付されるということです。所得が少ない世帯にとっては、中学生までの給付額は変わらず、ほぼ恩恵がありません。高校生への支給が増えてありがたいと一瞬思いましたが、実質負担増かも⁉
ツボ2️⃣ 高校生世帯の負担は増える?
この拡充で、高校生にも児童手当1万円が給付されるようになります。しかし実質負担増になるかもしれません。
というのは、現在16歳から18歳の子どもがいる世帯は、扶養控除38万円があるので、納税額が軽減されています。しかし、児童手当の財源確保のために、この扶養控除が廃止される可能性があります。
その場合、実質的な支給額は減り、年収850万円以上の世帯の場合はマイナスになると言われています。
★客観的にみると、今回の児童手当拡充は、少子化対策にはあまり効かないばかりか、貧富の格差拡大政策かと思ってしまいます。
また来年度からの3年間で年3兆5000億円規模の予算を追加するらしいですが、財源はまだ明らかにしていません。増税で賄うとすれば、そのしわ寄せは間違いなく庶民に向かいます。
2.高等学校等就学支援金
次に、高等学校へ就学したときの支援金を見てみます。世帯年収(夫と妻の合算)が590万円未満の場合、公立高校では年間11万8,800円、私立高校では年間39万6,000円が受給できます。世帯年収590万円以上~910万円未満の場合は、公立でも私立でも年間11万8,800円が受給できます。
所得要件は、住民税の課税標準額(課税所得額)で判定されます。世帯年収の目安で約910万円未満なら、公立高校の授業料が実質無償化になり、さらに課税標準額が一定額以下になれば、私立高校の授業料も助成されるしくみです。
妻の収入が103万円以下ならば配偶者控除を受けられるので、世帯の課税所得を下げることができます。もし、夫の年収が高く年収目安額に迫る場合は、配偶者控除を使えるように調整しましょう。
ツボ3️⃣ 最初に支払うお金は必要
高等学校等就学支援金の申請は、4月の入学後に学校経由で行います。そのため入学金や授業料は、入学前に一旦支払う必要があります。申請後に審査期間があり、学校から家庭へ返金されるのはだいたい夏以降。
つまり、お金はあとから手元に返ってきますが、一時的に負担しなければならないことを忘れないようにしましょう。
まとめ
政府は、少子化対策として2024年10月から児童手当の拡充を発表しました。しかしその内容を見ると、所得制限が撤廃されて高所得者には恩恵がありますが、中低所得者にとってはあまり恩恵がありません。しかも現時点では財源がはっきりしていません。(怖いですね)
私たち庶民にできることは、手当や支援金を確実にもらえるように申請しましょう。所得限度額には十分注意して。
もっと大切なことは、高所得者から低所得者へお金が還流し、格差是正を促す政策をしてくれそうな政治家に投票することだと思います。
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