こんにちは、えつみんです。
2023年10月からインボイス制度がついに始まりました。
私の会社(中小企業)では今年1月からシステム導入の検討をしてきました。インボイスだけでなく、電子帳簿保存法への対応も兼ねて検討。
今回、受領請求書と送付請求書の電子保管ができるクラウドシステムを導入しました。その準備だけで半年かかり、取引先との調整も結構大変でしたが、この8月から運用を開始しました。
しかし、この消費税増税の制度は、中小企業にとっては、費用はかかり、人手はかかり、しかも税負担が増え、本当に大変です。
(政府広報より)
今日は最初に、わが社へシステム導入したときのメリットとデメリットについてお話します。
<メリット>
①郵送コスト削減
今まで郵送していた請求書を、メール送付やダウンロードに変えることで、切手封筒代、印刷費、封入工数などの郵送コストが、年間120万円減る目論見です。
②ペーパレス
今まで紙で印刷して保管していたのが不要になり、書類の保管が不要になります。
<デメリット>
①システム費用がかかる
まず既存システムの改修費(請求書にインボイス番号を追加したり、消費税額計算の変更など)に70万円ほどかかりました。
新規システム導入の初期費用30万円と、システム利用料(ランニングコスト)が毎年200万円ほどかかります
メリットで挙げた、郵送コストが年間120万円ほど減ったとしても、差し引き年間80万円の費用アップとなります。
②運用が大変
請求書受領時のインボイス番号確認や、課税•免税事業者の区分とそれぞれの消費税計算など、経理担当者の業務量が今までより増えます。
③消費税が増える
インボイスが発行できない免税事業者との取り引きは、税額控除の対象にならないので増税になります。開始後6年間は一部控除できる経過措置がありますが、それでも徐々に増税となります。
ツボ1️⃣ インボイス制度は中小企業イジメ
中小企業や零細企業にとってインボイス制度は、対応費用がかかる、業務量が増える、増税となるなど、いいことはほぼありません。
★★★ 一番影響が大きいのは、小規模事業者やフリーランス。彼らが課税事業者にならない選択をしたときに、取引先から取り引きを切られる可能性が高い。それが嫌で課税事業者になった場合はもれなく増税となります。★★★
これまで売上げ規模が小さい企業(総売上1000万円以下)は消費税率0.0%で、売上げ1000万円を超えると消費税の納税が必要でしたが、1000万円以下でも課税事業者となれば消費税を支払う必要が生じます。
一方で大企業、特に輸出企業は消費税は還付されるため、問題とは認識していません。輸出売上に対する消費税は0%なので、国内売上ー仕入額がマイナスの場合、消費税は還付されます。トヨタでは2021年度にはなんと6000億円もの消費税が還付されました。まさに大企業優遇!
増税のために、中小零細企業やフリーランスをつぶそうとしているとしか思えません。日本経済を下支えしている、中小企業のやる気をなくしてどうするのでしょうか。
ツボ2️⃣ 消費者は消費税を納税していません
消費者は、モノやサービスの値段の10%を消費税として納税していると思っていませんか。実は我々が企業に支払った消費税は、そのまま国と地方に入るのではありません。企業が消費税を再計算して納税しているのです。
どういうことかというと、企業は「売上げにかかった(もらった)消費税-仕入れにかかった(支払った)消費税」を計算して納めることになっています。
※実際は「課税対象の税込売上げ金額から、課税対象の税込仕入れ金額を引いた部分(いわゆる粗利や付加価値)の110分の10(9.1%)を支払います。
(注1:この内訳として、国へ納める分と地方へ納める分が按分されます)
(注2:消費税10%と軽減税率8%はそれぞれ別々に計算して合算します)
つまり、企業は、消費者や顧客から預かった消費税を全額納めているわけではなく、仕入れに払った消費税を引いた分だけを納めればいいのです。
まとめ
インボイス導入後の課税事業者は、①自らが増税分を負担する。②仕入れ先の免税事業者へ負担させる(支払い値引きか、課税事業者への転換を要請)。③商品を値上げして消費者に負担させる。 の3つの行動が考えられます。
力の強い企業ほど②や③に走るでしょうから、どうしても中小零細企業や消費者にしわ寄せが行きます。国はいずれにしても消費税収入が増えます。
大企業は、消費税が増税されても還付金額が増えメリットしかないので、消費税増税には反対しません。
大企業を優遇した結果、中小零細企業はつぶれ、消費行動も弱くなって日本経済が先細ることに、政府は気づいているのでしょうか?
(過去の記事)