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「13歳からの税」は大人にも役に立ちます

こんにちは、えつみんです。

三木義一(よしかず)さん監修の「13歳からの税」を読みました。税のしくみから税の歴史まで、13歳の中学生でもわかるように書かれた本です。

しかし侮ってはいけません。大人でも十分勉強になります。数多くある税の種類や、こんな使い方をされているのかという話が、たくさん盛り込まれています。

大人が読んでも目からウロコが随所にありますので、それをいくつかご紹介します。

 

しかし日本の税制は複雑ですね。その時々の政権によって、次から次へと税収を上げるための法律が作られて、まさにスパゲッティ状態。

特に1989年に導入された消費税は皆一律の税率なので、低所得者ほど生活が苦しくなるわけです。ひいては消費を冷やし企業の業績を押し下げ、それがデフレの遠因ではないかと考えます。

ツボ2️⃣でも書きましたが、消費税で増えた税金は、結局法人税の減税で相殺されていることには驚きました。

 

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さて改めて勉強になったことをまとめます。

1。税金の基本は憲法

皆が人らしく幸せに生きるために守られるべきことが憲法に書かれています。全ての法律は憲法の考えに則って作られなければなりません。

・個人の尊厳、幸福追求権の尊重(憲法第13条)

・法の下の平等(憲法第14条)

・生存権、国の生存権保障義務(憲法第25条)

・財産権の保障(憲法第29条)

★つまり税金は、国民が健康な生活を送り、幸せに生きるために使われるものです。しかし現実はそうなっているのでしょうか。

 

2。税をどうかけたら公平か

昔から長く議論されてきて、今は下記二つの考え方がミックスしています。

一つは「応益負担」。受けたサービスに応じて納めるもの。消費税やガソリン税などがそれにあたります。

もう一つは「応能負担」。その人の支払う能力に応じて納めるもの。所得金額によって税率が変わる累進課税のしくみがそれです。

これをバランスよく組み合わせることで公平な税を作ろうとしてきました。

★今は応益負担が優勢か? 大企業や高所得者を優遇しすぎて、本当に生活に困っている人に手を差しのべられていないと感じるのは私だけでしょうか。

 

3。税金の使い道

国や自治体がどこにどれだけ税金を使っているのか、国民はよくチェックしなければなりません。

①命と健康を守るため➡︎社会保障

皆の命と健康を守るために使われるので納得できます。ただこれからは少子高齢化が進み支出が増え続け、若者の負担が増えますので大きな課題です。

 

②誰もが学べるために➡︎教育

少子化を反映して、学校の数や教員数をどんどん減らしています。教育予算も少ないまま。人づくりにお金をかけなくていいのでしょうか。

 

ツボ1️⃣ 教育にお金をかけない日本

日本が教育費にかける公費は世界でも最低レベル。教育費にあてる税金OECD平均が4.0%に対し日本は2.9%しかありません。一位はノルウェーの6.3% 、米国は4.1%です。

また、教育費の個人負担率は、OECD平均30.3%なのに対し日本は65.7%と倍以上。EU各国は大半が公費負担個人負担は4〜30%程度

 

★国が発展する基盤は人にあると思います。人口が減少する中でも、教育にお金をかけて教養を身につけ、賃金を上げ経済を回していかないと、国は衰退していきます。

 

③皆のための工事➡︎公共事業

これも大切ですね。でも新しい道路や鉄道はこれからそんなに要らないのでは。むしろ老朽化した橋やトンネルなどインフラの補修にお金をかける必要があります。

 

④国を守るため➡︎防衛

これも必要だと思いますが、米軍駐留への思いやり予算は過剰すぎるのでは。

 

⑤企業を元気にするため➡︎産業振興

事業活動を支援したり、起業を支援したり、企業の成長を促すために税金が使われています。ですがあまりに大企業を優遇しすぎでは。

 

ツボ2️⃣ 企業が払う税金とは

(1)企業優遇の法人税

企業がグローバル競争に負けないようにと、この30年でどんどん法人税を下げ続けてきました。当時税率42%でしたが今は23.2%です。

消費税導入から20年間の消費税収224兆円ありましたが、その間法人税を下げたため減った法人税減収208兆円とほぼトントン。30年間でみれば法人税の減税額が消費税収を上回ると思います。つまり消費税で集めた税金が企業に回っていったとも言えます。

★経済界から政府への企業優遇策の要請と、国から経済界への消費税導入に対して同意してくれという要請がマッチしたのでしょう。バーター取引きともいえますね。

 

(2)企業優遇の消費税

もうひとつ知っておくべきことは、輸出には消費税がかからないことです。正確には、一旦払いますが後で全額還付されるのです。(いわゆるゼロ税率)

★自動車メーカーなどの輸出企業は、ほぼ消費税を払っていません!

 

まとめ

公平とは何か、幸福とは何かを考えさせられる本でした。

「13歳からの」と書いてあるので、大人が手に取ることは少ないと思います。図書館でも子供向けの書架に行かないと見つかりません。

子供向けの本ですが大人にとっても知恵の宝庫です。とてもわかりやすく、目からウロコの話が多いので、ぜひ探してみてください。

 

(過去の記事)

www.etsumin.com

 

 

13歳からの税

13歳からの税

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