今回は、投資信託や株式投資で使われる「リターン」と「リスク」についてお話します。リターンの数字は皆さん気にすると思いますが、リスクの数字はもっと重要な情報です。一般的にリスクは「危険度」と訳されますが、投資におけるリスクとは、リターンの上下の振れ幅のことを意味します。
・リターン:投資を行うことで得られる収益(または損益)のこと。年率a%のリターンという場合、投資金額に対し年平均でa%収益が出たことを示す。
・リスク:リターンの振れ幅のこと。1年間のリターンがどれくらい上下にブレるかの確率。標準偏差の数字で示され、リスクがb%という場合、リターンa%からプラスマイナスb%の範囲に入る確率が68%あることを示す。
具体的な数字で説明します。
「ある投資信託で、リターンが5%、リスクが15%」とすると、1年間のリターンは5%を中心にして、上下15%の間で変動する確率が約3分の2(68%)であることを意味します。つまり、1年間のリターンがプラス5%~20%の範囲に収まる確率が約3分の1、プラス5%~マイナス10%の範囲に収まる確率が約3分の1となります。さらに、もっと振れる場合は、プラス20%より大きく上がる確率は約6分の1(17%)、マイナス10%より大きく下がる確率は約6分の1(17%)となります。
簡単に言えば、リスクの数字が高いほど、リターンの上下の変動が大きいと覚えておいてください。
さて、それぞれのインデックス(指標)についての、これまでのリターンとリスクを見てみます。
下表が主要インデックスの過去3年、10年、20年の数字です。
この表の10年の結果から、株式でリスクが最も小さいのは、米国株式のS&P500で13.4%、リターンは16.3%でした。リスクが最も大きかったのが、日経平均の17.3%でリターンは12.1%でした。3年、10年、20年いずれも、日本より米国のほうがローリスクでハイリターンです。
次に債券を見てみましょう。NOMURAで1.8%ですが、リターンは1.5%とかなり低い。一方で、FTSE/シティグループはリスク7.8%とそこそこ高いですが、リターンは6.0%とまずまずです。株式のリスクに比べれば債券のリスクはかなり低いことがわかります。
リスクはできるだけ小さく、リターンはできるだけ大きい商品を選びたいです。ただし、これはあくまで過去の実績ですので、これからの未来がこの数字と同じわけではありません。おおよその傾向がわかる程度ととらえてください。
(まとめ)
米国と日本の株式のリターンとリスクを比較すると、米国株のほうがローリスク、ハイリターンで投資にとって有利であることがわかりました。投資信託の商品を選ぶ際は、ついリターンの大小に目がいってしまいますが、リスクの値にも注目しましょう。
以上は私個人の考えですので、皆様はあくまで自己責任において投資をしてくださいね。