退職金の受け取り方は、一時金で受け取る、年金で受け取る、一時金と年金の併用というパターンが用意されていることが多いと思います。
受け取り方によって、税金の計算方法が異なり、総手取り額は変わります。
それではどんな受け取り方が一番お得でしょうか。
〈結論〉
金額のみで考えると、退職金控除の枠いっぱい一時金でもらい、残りを年金でもらうハイブリッド型がオススメ。ただし他の所得の有無によって変わります。
①一時金で受け取る
一時金で受け取る場合は「退職所得控除」という、とても大きな非課税枠があります。例えば勤続37年の方の控除額は1990万円です。(計算方法は最後の※印参照ください)
一時金がこの金額内であれば所得税はかかりません。控除額を越えた場合でも、越えた分の1/2に対してしか課税されません。しかも他の所得とは分けて課税する分離課税のため、税金はかなり低くなります。
注意としては、別のタイミングで確定拠出年金を一時金でもらう場合や、二社以上から退職金をもらう方は、合算して、同じ控除枠を使うことになります。
②年金で受け取る
一方、年金払いとしてコツコツ受け取る場合は雑所得となり、他の所得と合算して税率が決まる総合課税です。
公的年金には「公的年金等控除」があります。年金収入だけの場合は、65歳未満では基礎控除と合わせて108万円以下、65歳以上の方は158万円以下の人は所得税を払う必要がありません。つまり年金額がこの控除額以内であれば、所得税はかかりません。(住民税は扶養者数や市町村によって若干変わりますがここでは省きます)
注意としては、
給料をもらいながら受け取る人や、年金以外に不動産所得や事業所得がある人は、所得の合計額によって税率が高くなることがあります。
また、65歳から国からの老齢年金を受け取り始めると、それも雑所得に合算します。
それから、財形年金貯蓄については受け取り額に対しては非課税ですので、雑所得に計上する必要はありません。
ツボ1️⃣⇒ お得な受け取り方はハイブリッド方式
退職所得控除額が使える上限まで一時金で受け取り、残りを公的年金等控除の範囲に収まる形で年金払いを受ければ、所得税はゼロですみます。
それでも公的年金等控除の範囲を超える場合は、1/2課税の退職所得を選んだほうがトータルとして税金が少なくてすむケースが多いようです。
ツボ2️⃣⇒ 最後は老後のライフスタイルで判断を
今後高齢化が進むと、年金をたくさんもらっている人から税金をたくさん徴収し、国の財源不足を補おうとするでしょう。つまり所得税や住民税は上がる可能性大。そう考える方は、できるだけ一時金を多くもらって、自分で資産を増やすという選択が良いでしょう。
逆に、一時金で大きな金額を手にするのは不安。老後は定期的に決まった年金を少しずつ貰った方が安心(税金引かれるのは仕方がない)と考える方は、年金を多く選択するのもありかと思います。
〈まとめ〉
退職金は、長年働いたご褒美であり、これからの老後の貴重な資金ですので、できるだけお得な、受け取り方を選びたいですね。
一時金と年金のハイブリッド方式をお勧めしましたか、今後の生涯収支を見ながら、最後はご自分のライフスタイルや考え方によって選択してください。
※退職所得控除額の計算
(1)勤続20年以下:40万円 × 勤続年数 (80万円未満の場合は80万円)
(2)勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
(例)
・勤続年数が10年2ヶ月(端数は切り上げ)
→40万円×11年=440万円
・勤続年数が30年
→800万円+70万円×10年=1500万円