今回は、障害者控除についてお話します。これは、障害者を扶養する方の税負担を軽くするための控除枠です。
〈結論〉
本人、配偶者、扶養親族に障害者の方がいれば、障害者控除が受けられます。控除額は障害者一人に対して27万円、症状の重い方(特別障害者)は40万円、同居特別障害者は75万円です。
《障害者控除の対象者は?》
以下のいずれかに当てはまる障害者が対象です。この中で★印(5)は、昨今の高齢化社会の中、対象になる方が多いと思います。
(1)心神喪失の常況にある人=特別障害者
(2)知的障害者と判定された人(この内重度の知的障害者=特別障害者)
(3)精神障害者保健福祉手帳が交付された人(この内障害等級が1級の人=特別障害者)
(4)身体障害者手帳が交付された人(この内障害の程度が1級or2級の人=特別障害者)
★(5)満65歳以上で、市町村長や福祉事務所長に障害があると認定されている人(このうち重度と認定されている人=特別障害者) ➡️ツボ①
(6)戦傷病者手帳が交付されている人(この内重度の人=特別障害者)
(7)原子爆弾被爆者=特別障害者
(8)寝たきりの状態(6ヶ月以上)で、複雑な介護が必要な人=特別障害者
➡️ツボ① 要介護認定だけでは受けられません
65歳以上で要介護認定をされている方は、「障害者控除対象者認定書」の発行を市町村へ申請しましょう。これがないと控除を受けられません。
自治体によって認定基準が違うので(要支援2からOKのところや、要介護でないとダメなところなどまちまち)、前もって確認をお勧めします。
私は、妻の母親が要介護2になった時に、この制度に気づいて発行してもらい、障害者控除を受けていました。
《判定の時期》
その年の12月31日時点で判定します。
《控除額は?》
区分 【所得税控除額】【住民税控除額】
・障害者 27万円 26万円
・特別障害者 40万円 30万円
・同居特別障害者※ 75万円 53万円
※同居特別障害者とは、同一生計の配偶者又は扶養親族で、納税者自身や配偶者や生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方です。➡️ツボ②
➡️ツボ② 別居でも「同居特別障害者」にできるケース
例えば、長男が、別居している父親(特別障害者)と母親を扶養親族にしている場合、父親は生計を一にする親族である母親と同居しているため、長男の同居特別障害者にでき、75万円の控除を受けることができます。
これはややこしい❗️ので、知っている人は少ないと思います。
《いくら戻ってくる?》
年収500万円の方で、扶養している家族が同居特別障害者の場合、
・課税対象所得金額=500万円ー(500万円×20%+44万円)ー基礎控除48万円=308万円。この場合の所得税税率は10%、住民税税率も10%として計算。
・所得税からは、75万円×10%=7万5,000円、住民税からは、53万円×10%=5万3,000円、 合わせて約12万8,000円が戻ってきます。
〈まとめ〉
本人、配偶者、扶養親族に障害者の方がいれば、障害者控除が受けられます。
前にお話した扶養控除額に、障害者控除額がプラスされ、税金が戻ってきますので、該当される方は是非申告しましょう。
(参考:過去ブログ)
所得税はどうやって決まる?その1
https://etsumin.hatenablog.com/entry/2021/04/03/225836
所得税はどうやって決まる?その2
https://etsumin.hatenablog.com/entry/2021/04/07/183437