今回は、医療費控除で知っておくと役に立つ情報をお伝えします。
<結論>
医療費控除は、その年の医療費の合計が10万円を超えた分を所得から差し引くことができるしくみです。(ただし保険金等の補てん金はマイナスします)
確定申告すれば、所得税と住民税が戻ってきます。
(追記 2021/5/4)源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が200万円未満の人は、この金額の5%以上医療費がかかっていれば、医療費控除できます。つまり10万円以下でも控除できるケースがあります。
《控除できるもの、できないもの》
まず基本を押さえておきます。控除の対象となるものは「治療」のための費用。つまり、医師等による診療や治療のために支払った医療費や器具の購入費に限られます。美容や健康維持のためのものは、対象外ですのでご注意ください。
知らないと、申告していいかどうかわかりにくい項目を以下に挙げます。
・電車代、バス代
通院のため交通機関を使った費用はOKです。領収書がないときはメモを取っておきましょう。タクシーはやむおえない場合に限りOKです。自家用車で通院した時のガソリン代や駐車場代はだめです。
・薬局で買った薬代
治療・療養のための薬代はOKです。風邪薬や下痢止め、鎮痛剤などは対象です。ただし健康増進や病気予防のためのもの(栄養ドリンクやサプリなど)はだめです。
・整骨院代
治療目的で整骨院に通った費用はOKです。マッサージや鍼灸も治療が目的の場合は対象ですが、疲労回復のためのマッサージはだめです。
・扶養家族の医療費
同居の家族の医療費はもちろんOKですが、離れて住む親や子でも、生活費や学費などを仕送りしている場合(生計を一にしている※と言います)は対象にできます。年末に領収証を取り寄せておきましょう。
※生計を一にするとは、生活費の一部を負担していることが必要ですが、金額の基準や、生活費の何割以上という基準があるわけではありません。
・介護サービス費用
介護保険サービスを受けた時の費用もOKです。ただし対象になるものとならないものがあって複雑です。でも領収証をみると、医療費控除の対象金額が書いてありますので、それを使いましょう。
《いくら戻ってくる?》
例えば、年間所得400万円(収入ではなく)の方が1年間に支払った医療費が30万円、保険金で5万円戻った場合
•医療費控除額=30万 -5万 - 10万 = 15万円
•所得税の還付金 約3万円+住民税の減税額 約1万5千円 =4万5千円
つまり、所得税と住民税から、約4万5千円が戻ってきます。
《準備段階のコツ》
①全ての領収証は一箇所に保管しておきましょう。
②交通費は、医療費の領収証にメモを残しましょう。
③生計を一にする親・子供の領収証を、取り寄せましょう。
④数が多い場合は「医療費集計フォーム」※(エクセル)を活用し入力しましょう。
※国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーにあります。ホームページから確定申告を作成する方は、医療費控除の入力画面でデータの読み込みができます。
<まとめ>
医療費控除について、知っておくと便利なツボをお話しました。年間医療費が10万円を大きく超える方はぜひ確定申告をして、税金を返してもらいましょう。
過去5年遡って申告できますので、そういえばあの時は医療費が多かったなーという年があれば、ぜひ領収証を探してみてください。